仕事上、介護職の方ともお話をする機会が多いのですが、介護士さんによくあるお悩みはダントツで「腰痛」。確かに介護士さんはお年寄りの方をベッドから移動させたり、一緒に運動をするので中腰の体制は必然的に多くなりますよね。
で・す・が……それは看護師だって一緒なんです。看護師の仕事は、患者さまのケアが基本。特に病院看護師はベッドに寝ている方へのケアが多いですから、清拭・おむつ交換・食事介助など、中腰でおこなう業務は数え切れないほどあります。また、車椅子やストレッチャーへの移動といった送迎の介助は、患者さまの体を抱える時にかなり腰を使います。それが毎日続くと、腰への疲労は積み重なり、腰痛の原因になってしまうという訳です。
人間の体は二足歩行をすることで両手を自由に使えるようになり、その結果高度な進化を遂げました。しかし代償として、上半身の重みを全て腰で支えることにもなりました。そこから招かれるのが「腰痛」です。腰痛は二足歩行の人間に課せられた宿命とも言えます。
特に、立ち仕事が与える腰への負荷は深刻です。患者さん相手で前かがみの体勢になることが多い看護師は、背中・腰・太ももの裏にかけての負担がかかりやすいと言われています。腰痛を抱えてしまうと、歩く時も腰をかばってしまうので、足や首など、腰以外の部分にも無理な力が加わることになります。ひとたび腰痛を起こすと、その影響は全身に及んでしまうんですね……。
「ボディメカニクス」とは、骨格・筋肉・内臓といった身体の動きのメカニズムを言います。介護が必要な人や介護を行う人にとって双方の負担を軽減し、安全な動作を可能にするものです。主に介護の分野で多く用いられていますが、実は看護師にこそ重要なんです!
これがボディメカニクスの8原則!
(1)支持基底面積を広くする! ⇒ 介護者の足の幅を左右に広くとり、立位を安定させること
(2)重心の位置を低くする! ⇒介護者が膝を曲げて重心を下げることで姿勢を安定させる
(3)重心の移動をスムーズにする! ⇒対象を持ち上げるのではなく、滑らせるように動かす
(4)重心を近づける! ⇒対象に近づいて介護をすることで、負担なく介護ができる
(5)てこの原理を使う! ⇒肘や膝を支店にして、少ない力で容易に動かせるようにする
(6)身体を小さくまとめる! ⇒対象の両手・両足を組むことで移動しやすくさせる
(7)大きな筋群を使う! ⇒腕や指先だけでなく、肩など大きな筋群を使って容易に移動させる
(8)広い空間で効率よく行う! ⇒ケガや事故の防止にもなる
ケアをする看護師にとっても、負担を最小限におさるのが理想ですよね。私も腰痛が出てからは、「お互いのため!」という事でボディメカニクスを意識したケアを実践しております。
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